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電気代
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全館空調の電気代は高すぎ?月・年間の目安とエアコンとの比較を解説

全館空調の電気代は高すぎ?月・年間の目安とエアコンとの比較を解説
アイキャッチ

「全館空調の電気代って、月々一体いくらになるんだろう?」
「個別エアコンと比べて、どっちが得なんだろう?」

こうした疑問や不安は、電気代が高くなる理由と、それを賢く抑える方法を知ることで解消できます。

「高い」というイメージだけで、快適な暮らしの選択肢を諦めてしまうのは、非常にもったいないのです。

この記事では、後悔しないための判断材料として、以下の点を網羅的に解説します。

  • 月々・年間のリアルな電気代シミュレーション
  • 個別エアコンとのトータルコスト徹底比較
  • 電気代を左右する3つの要因と、5つの節約術
  • 導入後に気づく、見落としがちな注意点

この記事を最後まで読めば、あなたの家族にとって全館空調が本当に価値のある投資なのか、客観的なデータに基づいて自信を持って判断できるようになるはずです。

目次

全館空調の電気代、月々の目安は1万円〜1.5万円

電気料金

「全館空調は電気代が高いのでは?」

という不安を解消するため、まずはリアルな金額を知ることから始めましょう。

この章では、実際のデータを基に、「季節」「家の広さ」「お住まいの地域」という3つの視点から電気代をシミュレーションします。

あなたの家の場合はいくらになるのか、具体的な目安を掴んでください。

季節で違う!月々の電気代シミュレーション

まずは実際のデータを見てみましょう。

あるハウスメーカーが、実際に全館空調『Z空調』を導入した関東地方を含む温暖な地域(31世帯)の電気代を、一年間調査した興味深いデータがあります。

このデータをもとに、季節ごとの電気代の傾向を見ていきましょう。

▼全館空調の月々の電気代シミュレーション

季節

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

電気代目安

15,165円

11,827円

8,547円

4,966円

1,637円

1,742円

3,407円

5,831円

3,023円

2,356円

5,633円

11,213円

※上記の表は、株式会社ヒノキヤグループの調査結果(2019年)を基に作成。
『Z 空調』搭載住宅居住の 31 世帯・単世帯・オール電化・延べ床面積約 30~40 坪・2 階建
電気料金単価31円/kWhで計算

この実際のデータを見ると、全館空調の電気代のリアルな特徴が浮かび上がってきます。

このデータからわかる3つの重要ポイント

1.電気代のピークは「冬」に来る
一般的にエアコン代は夏のイメージが強いですが、このデータでは最も電気代が高いのは1月の
約1.5万円。外気温と設定温度の差が大きくなる冬場の方が、暖房に多くのエネルギーを使うことがわかります。

2.最も高い月と安い月では約10倍の差
ピークの1月(15,165円)に対し、最も安い5月はわずか
約1,600円。その差は歴然です。全館空調は24時間稼働と聞くと電気代が常に高いイメージを持つかもしれませんが、春や秋など過ごしやすい季節は非常に安く抑えられます。

3.年間の平均月額は約6,300円
この調査対象の年間電気代の合計は75,215円で、月平均にすると
約6,300円です。もちろん、これは特定の高性能なシステムを搭載した住宅での一例ですが、イメージしていたよりも「意外と安いかも?」と感じた方も多いのではないでしょうか。

まずはこの3つのポイントから、「全館空調の電気代は季節によって大きく変動し、特に冬場に高くなる傾向がある」という実態を把握しておきましょう。

家の広さで決まる!年間の電気代

季節の次に、全館空調の電気代を左右するもう一つの大きな要因が「家の広さ(延床面積)」です。

当然ながら、空調する空間が広ければ広いほど、より多くのエネルギーが必要になり、電気代は高くなります。

先ほどと同じハウスメーカーの調査結果から、家の広さによって年間の電気代がどれくらい変わるのかを見てみましょう。

延床面積(坪数)

年間電気代の目安

20~30坪

56,509円

30〜40坪

75,346円

40〜50坪

114,148円

※上記の表は、株式会社ヒノキヤグループの調査結果(2019年)を基に作成。

このデータからわかる重要ポイント

・10坪広くなると、年間約2〜4万円アップ
このデータを見ると、家の面積が10坪大きくなるごとに、年間の電気代が
約2万円から4万円ほど高くなる傾向があることが分かります。

・30坪と50坪では2倍近い差に
例えば、30坪未満の家(約5.6万円)と、40坪以上の家(約11.4万円)を比較すると、年間で
約5.8万円、金額にして2倍近い差が生まれます。

お住まいの、あるいは計画中の家の広さは何坪でしょうか。

ぜひ上の表の目安と見比べてみてください。

これから家を建てる方にとっては、将来のランニングコストをイメージするための重要なヒントになります。

また、すでにお住まいの方にとっては、ご自宅の電気代が平均と比べて高いのか安いのかを判断し、日々の使い方を見直すきっかけにもなるはずです。

このデータを、ぜひご自身のケースに当てはめて参考にしてみてください。

あなたの家の電気代はいくら?地域別の目安

ここまでの電気代は、関東など温暖な地域を基準としたものです。

お住まいの地域の気候によって、実際の電気代は変動します。

下の表で、あなたの家の電気代が年間いくらになるのか、さっそく目安を確認してみましょう。

▼【地域別】年間・月平均電気代シミュレーション
(30〜40坪の家の場合)

地域

地域補正係数
(通年)

年間電気代

月平均電気代

北海道

3.1

約233,600円

約19,500円

東北

2.0

約150,700円

約12,600円

関東

1.0

約75,300円

約6,300円

北陸

1.4

約105,500円

約8,800円

中部

1.2

約90,400円

約7,500円

関西

1.1

約82,900円

約6,900円

中国

1.3

約98,000円

約8,200円

四国

1.1

約82,900円

約6,900円

九州

1.0

約75,300円

約6,300円

出典:経済産業省資源エネルギー庁|省エネ性能カタログ2024年版 の地域補正係数を基に作成
※上記の目安は、30〜40坪の家の年間電気代(75,346円)を基に計算。

このシミュレーションからわかること

寒冷地では電気代が大きく上がる

関東(月平均約6,300円)を基準とすると、東北では約2倍、北海道では約3倍と、冬の寒さが厳しい地域ほど暖房に必要なエネルギーが大きくなり、電気代も高くなることが分かります。

家づくりの断熱性能がより重要になる

特に寒冷地で全館空調を導入する場合は、関東地方以上に住宅の断熱性・気密性を高めることが、電気代を抑える上で非常に重要になります。

【注意】
この計算は、あくまで大まかな傾向を掴むための目安です。
実際の電気代は、住宅の性能、ライフスタイル、契約する電力会社のプランなどによって大きく変動します。

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全館空調vs個別エアコン どっちが安い?

question

全館空調を検討する上で誰もが気になるのが、「個別エアコンと比べて本当に得なのか?」という点です。

この章では、月々の電気代だけでなく、導入時の「初期費用」から将来の「メンテナンス費用」までを徹底比較。

あなたの家族にとって、どちらが経済的なのかを判断するための明確な材料を提示します。

月々の電気代を徹底比較

「結局、毎月の電気代はどちらが安いの?」これは、誰もが抱く最大の疑問ですよね。

ここでは、同じ条件下で両者の電気代がどう変わるのかをシミュレーションし、比較してみましょう。

比較のモデルケース

  • 家族構成:30代夫婦、子供2人(4人家族)
  • 住  宅:延べ床面積約30~40坪・2階建
  • 電気料金:31円/kWhで計算
①全館空調の場合
まず、基準となる全館空調の電気代です。これは「1-1」で見た実際のデータを使用します。

②個別エアコンの場合
次に、個別エアコンを主要な3部屋に設置し、家族の生活スタイルに合わせて稼働させた場合の電気代を計算します。

エアコン設置:リビング(14畳用)、寝室(6畳用)、子供部屋(6畳用)の計3台
稼働想定
 
 夏・冬:リビング(1日12時間)、寝室(1日7時間)、子供部屋(1日3時間)稼働
 
 春・秋:基本的に使用しない(待機電力のみ)

【結論】使い方によって有利・不利が変わる

シミュレーション結果を、季節ごとに比較してみましょう。

春・秋

全館空調

約15,200円

約5,800円

約1,600円〜

個別エアコン

約19,000円

約13,500円

ほぼ0円

  • 夏・冬のピーク時は全館空調が安い
    冷暖房を複数の部屋で長時間使う季節は、高効率な全館空調の方が個別エアコンよりも電気代を抑えられる傾向にあります。
  • 春・秋は個別エアコンが圧倒的に有利
    一方、エアコンをほとんど使わない季節は、24時間稼働が基本の全館空調には「送風」などのための最低限の電気代がかかりますが、個別エアコンはほぼ0円に抑えられます。

【重要ポイント】年間トータルで考える
月単位で見ると一長一短ですが、年間で考えるとどうでしょうか。

このモデルケースの場合、全館空調の年間電気代は約7.5万円

対して個別エアコンは、冷暖房を使う6ヶ月間(夏3ヶ月・冬3ヶ月)で計算すると約9.8万円となります。

結果として、年間では全館空調の方が約2.3万円安い計算になります。

ただし、これはあくまで長時間・複数部屋を利用するケースの一例です。

日中の在宅時間が短い、使う部屋が限られるなど、ご家庭のライフスタイルによって、どちらが経済的になるかは変わってきます。

ご自身の家族が家でどう過ごすかをイメージし、どちらが最適か判断することが重要です。

初期費用とメンテナンス費用を比較

月々の電気代と同じくらい重要なのが、導入時にかかる「初期費用」と、使い続けるために必要な「メンテナンス費用」です。

長期的な視点で、どちらがご自身の計画に合っているか見ていきましょう。

①初期費用の比較

まず、導入時に必要となる初期費用です。ここには最も大きな価格差があります。

全館空調

個別エアコン(3台)

初期費用

約150万~300万

約30万~50万

見ての通り、初期費用は個別エアコンの方が100万円以上も安く抑えられます。

全館空調の費用は住宅ローンに組み込むのが一般的ですが、それでも家計にとって大きな初期投資となることは間違いありません。

②メンテナンス費用の比較

次に、快適な状態を維持するためのメンテナンス費用です。

ここでは、定期的なプロによるメンテナンスと、将来的な交換費用の2つの視点で比較します。

全館空調

個別エアコン(3台)

定期メンテナンス

年間1万~3万円
(業者による点検費用)

1台1万~1.5万円
(1~2年に1回推奨)

10~15年後の
交換費用

100万円~
(システム全体の交換)

30万円~
(1台10万円~ × 3台)

メンテナンスにおける両者の最も大きな違いは、「一度にかかる費用の大きさ」です。

  • 全館空調:安定した性能を保つために、プロによる年間1〜3万円程度の定期メンテナンスが推奨されます。また、将来システムを丸ごと交換する際には、再び100万円単位のまとまった費用が必要になる可能性があります。
  • 個別エアコン:基本的には自分でフィルター清掃を行えば維持費はかかりませんが、内部の汚れが気になった場合は業者によるクリーニングが必要です。故障や交換も1台ずつ対応できるため、一度にかかる費用を分散させやすいのがメリットです。
【重要ポイント】
トータルコストで判断しよう!

電気代、初期費用、メンテナンス費用を総合的に見て、どちらを選ぶべきでしょうか。

・初期費用を抑えたい、使う部屋や時間が限られている
 →
個別エアコンが向いています。

・初期費用はかかっても、家全体の快適性や日々の効率を重視したい
 →
全館空調が有力な選択肢になります。

目先の金額だけでなく、10年、20年という長いスパンで、どちらがご自身の家族のライフスタイルと資金計画に合っているか、じっくりと検討することが重要です。


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「高すぎる」は本当?電気代を左右する3つの要因

電気料金高騰

「全館空調は電気代が高い」という声も耳にしますが、それはなぜでしょうか。

実は、電気代が高くなる家や使い方には共通の原因があります。

この章では、電気代を左右する「家の性能」「日々の使い方」「機器の性能」という3つの要因を解説。

失敗しないための重要なポイントを明らかにします。

家の性能(断熱性・気密性)

「全館空調の電気代が高い」という失敗談のほとんどは、実は空調機ではなく、家そのものの性能に原因があります。

全館空調は、高気密・高断熱な住宅で使われることを大前提として設計されています。

  • 高気密・高断熱な家(性能が良い家)
    魔法瓶のように、一度快適になった室温を長く保つことができます。空調が最小限の力で済むため、電気代は安くなります。
  • 低気密・低断熱な家(性能が低い家)
    穴の開いたバケツのように、快適な空気がどんどん外へ逃げてしまいます。空調は常にフルパワーで運転する必要があり、電気代が高騰する原因になります。

これから家を建てるあなたが、電気代で後悔しないために。

住宅会社との打ち合わせでは、必ず以下の3つのポイントを確認しましょう。

【重要ポイント】家づくりでチェックすべき性能の3要素

・断熱材の性能と施工
どんな種類の断熱材を、どれくらいの厚みで、どのように施工するのか。壁の中だけでなく、屋根や床下の断熱も非常に重要です。

・窓やサッシの性能
家の中で最も熱の出入りが激しいのが「窓」です。断熱性能の高い「樹脂サッシ」や「Low-E複層ガラス(ペアガラス)」などが標準仕様になっているかを確認しましょう。

・施工の質(気密性)
設計が良くても、現場の施工が丁寧でなければ隙間だらけの家になってしまいます。住宅の気密性能を示す「C値(シーち)」という指標があり、この数値が低いほど隙間が少なく高性能です。C値の目標値などを確認するのも良いでしょう。

全館空調の性能は、この「家の性能」という土台の上に成り立っています。

まずはこの土台をしっかり固めることが、電気代を抑えるための最も効果的な方法です。

日々の使い方(設定温度・風量)

家の性能の次に電気代に大きく影響するのが、日々の「使い方」です。

良かれと思ってやっているその操作が、実は電気代を高くしている原因かもしれません。

ここでは、特に注意したい2つのポイントを解説します。

①過剰な温度設定

全館空調は、家全体を24時間体制でゆっくりと快適な温度に保つため、壁や床の温度も安定します。

そのため、個別エアコンと同じ感覚で「夏はガンガンに冷やし、冬はポカポカに暖める」という設定にすると、必要以上にエネルギーを消費し、電気代が高くなる原因になります。

▼全館空調の推奨温度の目安

推奨温度

冷房(夏)

26~28℃

暖房(冬)

20~22℃

例えば、推奨温度からわずか1℃でも設定を厳しくする(夏は低く、冬は高くする)だけで、消費電力は約10%も増加すると言われています。

「暑がりだから」「寒がりだから」と安易に設定を変え続けると、電気代に直接跳ね返ってきてしまいます。

②こまめな電源ON/OFF

「ちょっと出かけるだけだから、もったいないし電源を切っておこう」
この節約意識が、実は逆効果になる場合があります。

全館空調も個別エアコンも同様に、最も電力を消費するのは「停止状態から室温を設定温度まで戻す」起動時です。

1〜2時間程度の外出のたびに電源をこまめにON/OFFすると、その都度、最も電力を使う運転を繰り返すことになり、結果としてつけっぱなしにするよりも電気代が高くなってしまうのです。

【補足】春・秋の運転は止めてもOK?

「じゃあ、ずっとつけっぱなしにしないといけないの?」と不安に思うかもしれませんが、ご安心ください。
窓を開ければ心地よい春や秋など、冷暖房が不要な時期は、運転を停止しても問題ありません。
(多くの機種では、冷暖房を止めても24時間換気は独立して動き続けます)
不要な時期にまで運転を続けていると、その分が無駄な電力消費につながってしまいます。

機器の性能(メーカー・省エネ効率)

家の性能や日々の使い方と同じくらい、導入する「機器そのもの」の性能も電気代に大きく影響します。

ここでは、機種選びが原因で電気代が高くなってしまう2つのケースを見ていきましょう。

①省エネ性能が低い

全館空調の技術は年々進化しており、最新の機種と10年前の旧式の機種とでは、省エネ性能(消費電力あたりの運転効率)が大きく異なります。

同じように家全体を快適な温度に保ったとしても、省エネ効率が低い旧式の機種では、より多くの電力が必要となり、電気代が高くついてしまいます。

また、メーカーによっても採用している技術や得意な分野が異なるため、性能には差があります。

住宅会社から提案された機種が、最新の省エネ基準を満たしているかを確認することは非常に重要です。

②家の規模に合っていない(オーバースペック)

「大は小を兼ねる」と考え、家の広さや断熱性能に対して過剰にパワフルな(オーバースペックな)機種を選んでしまうと、無駄な電力消費につながることがあります。

これは、小さな軽自動車で十分なところに、燃費の悪い大型トラックを持ち込むようなものです。

家の規模や性能に合った、適切な能力の機種を選ぶことが、無駄な電気代を生まないためのポイントになります。

【参考】メーカーによって仕様や費用は様々

以下は、主なハウスメーカーが提供する全館空調システムの例です。

このように、メーカーや製品によって機能や導入費用には大きな幅があることが分かります。

単に価格だけで判断するのではなく、ご自身の家に合った省エネ性能の高い機種を、住宅会社の担当者とよく相談して選ぶことが、将来の電気代で後悔しないための鍵となります。

メーカー名

商品名

導入費用の目安

冷暖房方式

加湿機能

ミサワホーム

エアテリア

250万~300万円

天井吹き出し型

-

パナソニックホームズ

エアロハス

250万円~

天井吹き出し型

-

三井ホーム

スマートブリーズ

230万~250万円

天井吹き出し型

トヨタホーム

スマート・エアーズPLUS

230万~250万円

天井吹き出し型

セキスイハイム

快適エアリー

100万~150万円

天井吹き出し型

-

ヒノキヤグループ

Z空調

~130万円

天井吹き出し型

△(別売り)

出典:ミサワホームパナソニックホーム三井ホームトヨタホームセキスイハイムヒノキヤグループ の情報を基に作成
※費用は住宅の規模や仕様によって変動します。
※機能の有無(○△-)はモデルや仕様によって異なる場合があります。


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電気代だけじゃない!見落としがちな注意点

全館空調の検討は、電気代だけで判断すると後悔するかもしれません。

快適な暮らしを実現するためには、メリットだけでなくデメリットも知っておくことが重要です。

この章では、費用、乾燥、故障、温度調整といった、導入してから「こんなはずではなかった」とならないための4つの注意点を解説します。

初期費用とメンテナンスコスト

2章の比較でも見た通り、全館空調は導入時に150万円以上の初期投資が必要になります。

これは住宅ローンに組み込むのが一般的ですが、家全体の費用を大きく押し上げる要因であることは間違いありません。

しかし、本当に注意すべきは見落としがちな「将来のコスト」です。

【要注意】10~15年後に再びまとまった出費がやってくる

さらに重要なのが、10年、15年先を見据えた資金計画です。
全館空調は精密な機械であり、いつか必ず寿命が来ます。その際、システム全体を交換する必要があり、
再び100万円単位のまとまった出費が発生する可能性があります。

月々の電気代という「目に見えるコスト」だけでなく、この「導入時の大きな負担」と「将来必ずやってくる交換費用」も受け入れた上で導入を検討することが、後悔しないための絶対条件です。

乾燥しやすさとその対策(加湿機能など)

特に冬場、全館空調のデメリットとしてよく挙げられるのが「室内の乾燥」です。

肌や喉が弱い方、小さなお子様がいるご家庭では気になるポイントかもしれません。

なぜ乾燥するのか?

これは主に冬の暖房の仕組みが原因です。

全館空調は、もともと乾燥している冬の外気を取り込み、暖めて室内に送ります。空気が暖められることで、相対的な湿度がぐっと下がってしまうのです。

これにより、肌のカサつき喉のイガイガ、ウイルスの活性化などが起こりやすくなります。

【対策】乾燥を防ぐための3つの方法

1.パワフルな加湿器を併用する
最も手軽な方法です。リビングだけでなく寝室にも置くなど、
複数台の設置やパワフルな機種を選ぶのがポイントです。

2.加湿機能付きの全館空調を選ぶ
これから家を建てるなら、これが最も効果的です。
システム自体が湿度を管理してくれるため、給水の手間もありません。

3.日々の暮らしで工夫する
加湿器の補助として、洗濯物の室内干しや観葉植物を置く、お風呂の後にドアを開けておくなども有効です。

故障すると家全体の空調が止まるリスク

全館空調は、家全体を1台のシステムで管理しているため、万が一故障した場合、家中の冷暖房がすべて一度に停止してしまうという大きなリスクがあります。

特に、猛暑の夏や極寒の冬にこの事態が発生すると、生活に深刻な影響が出かねません。

個別エアコンなら他の部屋で過ごすこともできますが、全館空調ではそれができないのです。

【対策】故障リスクに備えるための2つのポイント

1.定期的なメンテナンスを怠らない
車の車検と同じで、定期的にプロの目で点検してもらうことで、故障の予兆を早期に発見し、システムの寿命を延ばすことができます。これは、結果的に修理費用を抑えることにも繋がります。

2.アフターサポートが手厚い会社を選ぶ
これが最も重要です。万が一の際に、「すぐに修理に来てくれるか」「保証期間は長いか」といったアフターサポート体制は、住宅会社やメーカーを選ぶ際の非常に重要な判断基準になります。契約前に必ず確認しておきましょう。

部屋ごとの細かい温度調整が難しい問題

家族の中でも、「暑がりの人」と「寒がりの人」がいますよね。

しかし、基本的な全館空調は家全体を均一の温度に保つことを目的としているため、部屋ごとに温度を変えるといった細かい調整が苦手です。

例えば、「キッチンだけ涼しく」「寒がりの人の部屋だけ暖かく」といった個別の要望に応えられない場合があり、これが家族の小さなストレスになる可能性があります。

【対策】温度調整のストレスをなくすには?

1.高性能な機種を選ぶ
最近では、部屋ごとに温度設定を変えられる高性能なモデルも登場しています。導入費用は上がりますが、この問題を根本から解決できます。

2.吹き出し口やサーキュレーターで調整する
各部屋の吹き出し口の風量を調整したり、サーキュレーターで空気を循環させたりすることでも、体感温度をある程度コントロールすることが可能です。

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全館空調の電気代を節約する5つのポイント

全館空調

電気代が高くなる原因や注意点がわかったところで、いよいよ具体的な節約術です。

この章では、後からでは対策できない家づくりの工夫から、今日からすぐに実践できる日々の暮らしのコツまで、電気代を賢く抑えるための5つのポイントを解説します。

これらを実践すれば、コストの不安を解消し、快適な暮らしを実現できます。

設計:高気密・高断熱な家にする

これから家を建てる方にとって、これが最も重要で、最も効果的な電気代の節約術です。

高気密・高断熱な家は、一度快適になった室温を外に逃さず、外の暑さや寒さの影響も受けにくくなります。

そのため、全館空調は最小限のエネルギーで家全体を快適に保つことができ、将来の電気代を根本から、そして何十年にもわたって安く抑えることができるのです。

全館空調の導入を考えているなら、家づくりでは「高気密・高断熱」を絶対条件にしましょう。

断熱材の種類や窓の性能について住宅会社としっかり話し合うことが、後悔しないための最も重要な第一歩です。

運転:最適な設定を保つ

① 風量は「自動運転」が鉄則

電気代を節約したいと思うと、つい風量を「弱」にしたくなりますが、これは逆効果になることがあります。

「弱」運転では設定温度に到達するまでに時間がかかり、かえって多くの電力を消費してしまうのです。

風量は必ず「自動」に設定しましょう。

そうすれば、システムが最も効率的な風量を判断し、最短時間で快適な室温にしてくれるため、結果的に無駄な電力消費を抑えることができます。

② 設定温度は控えめを意識する

3章でも触れましたが、全館空調は壁や床からの輻射熱の効果で、設定温度以上に快適に感じやすい特徴があります。

  • 冷房(夏): 26~28℃
  • 暖房(冬): 20~22℃

この推奨温度を目安に、なるべく控えめな設定を心がけましょう。

一般的に、設定温度を1℃変えるだけで消費電力は約10%も変わると言われています。

この小さな意識が、年間の電気代に大きな差を生みます。

維持:フィルターの定期的な清掃

最も手軽で効果的な節約術が「フィルターの定期的な清掃」です。

フィルターにホコリが詰まると空気の通りが悪くなり、余計なパワーが必要になるため、電気代が上がってしまいます。

  • 頻度:月に1〜2回を目安に行いましょう。
  • ホコリを掃除機で優しく吸い取る。
  • 汚れがひどい場合は、水またはぬるま湯で洗い流す。

この簡単なメンテナンスを習慣にすることが、効率の良い運転を保ち、電気代を節約する鍵です。

補助:サーキュレーターの併用

全館空調の効率をさらに高めるための強力な助っ人が「サーキュレーター」です。

暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすいため、どうしても室内に温度のムラができてしまいます。

そこでサーキュレーターを使い、室内の空気を強制的に循環させましょう。

部屋全体の温度が均一になることで、全館空調の設定を控えめにしても快適に過ごせ、結果的に電気代の節約につながります。

見直し:電力会社のプランを最適化

意外と見落としがちですが、非常に効果的なのが「電力会社の料金プランを見直す」という方法です。

電力自由化

なぜ、全館空調の家はプラン見直しが効果的なのか?

全館空調を導入している家は、一般的な家庭に比べて電気の使用量が全体的に多く、また24時間を通して電気を使い続けるという特徴があります。

そのため、

  • 基本料金が安いプラン
  • 電気をたくさん使う家庭向けの割引率が高いプラン
  • 深夜電力がお得になるプラン(オール電化の場合など)

こういったプランに切り替えることで、同じ量の電気を使っても、年間の電気代を数千円から数万円単位で節約できる可能性があるのです。


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【Q&A】全館空調の電気代に関するよくある質問

Q&A

最後に、全館空調の電気代に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。

Q.寒冷地(北海道・東北)だと冬の電気代は跳ね上がりますか?

A. はい、温暖な地域に比べて高くなる傾向にあります。

1-3. あなたの家の電気代はいくら?地域別の目安」でシミュレーションした通り、冬の外気温と設定室温の差が大きい寒冷地では、暖房に必要なエネルギーが増えるため、電気代は高くなります。

そのため、寒冷地で全館空調を導入する場合は、温暖な地域以上に「家の断熱性・気密性」を高めることが、電気代を抑えるための絶対条件となります。

Q.オール電化住宅だと安くなりますか?

A. ライフスタイルに合った料金プランを選べば、安くなる可能性があります。

オール電化住宅向けの料金プランには、「夜間の電気代が割安になる」といったものが多くあります。

エコキュート(電気給湯器)が主にお湯を沸かす深夜の時間帯は、全館空調の消費電力も比較的少ないため、相性は良いと言えるでしょう。

詳しくは5章の「5-5. 見直し:電力会社のプランを最適化」で解説した通り、ご自身の家庭の電気を使う時間帯に合ったプランを選ぶことが、節約の鍵になります。

Q.使わない部屋だけ停止することはできますか?

A. 基本的にはできませんが、風量を調整することは可能です。

全館空調は、家全体の空気を循環させ、温度を均一に保つことを目的としたシステムのため、原則として特定の部屋だけ運転を完全に停止することはできません。

ただし、各部屋の天井や壁にある吹き出し口(ガラリ)の開閉度を調整することで、その部屋へ送る風の量を減らしたり、ほぼ止めたりすることは可能です。

長期間使わない部屋がある場合は、この方法で対応するのが一般的です。


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まとめ|全館空調の電気代は「家の性能」が鍵

今回は、全館空調の電気代について、具体的な金額から節約術、注意点までを詳しく解説しました。

「電気代が高すぎる」というイメージは、必ずしも正しくありません。

最大の鍵は「高気密・高断熱な家づくり」にあり、この土台を固めた上で賢く使えば、コストを抑えつつ快適な暮らしが実現できます。

電気代だけでなく、初期費用や家中どこでも快適という大きなメリット、そして注意点も天秤にかけ、あなたの家族のライフスタイルに本当に合うのかを総合的に判断することが大切です。

この記事が、後悔のない家づくりの一助となれば幸いです。

執筆者
raiLamp
Ribbon Blog 編集部
「Ribbon Blog」は「電気の気になるをサクッと解決」をコンセプトに、株式会社リボンエナジーが運営する公式メディアです。 電気代の節約術をはじめ、家庭で役立つ電気の情報をお届けしています。