電気代が4万円を超える家庭はどの程度？

最初に、「電気代4万超え」はどの程度の電気代の高さなのか、データを紐解きながら確認しましょう。

1. 4万円超えの統計データはないが一定数存在する

2. 電気代が4万円超えは平均の2〜5倍以上

3. 一般家庭であれば電気代4万円は異常発生の可能性あり

4万円超えの統計データはないが一定数存在する

「電気代4万円超えの世帯は、全体の何パーセントか？」

と具体的な数値を知りたい方もいるかと思います。本記事の執筆にあたり調査しましたが、残念ながら、信頼できる統計データは入手できませんでした。

しかしながら、入手できた情報から、電気代が4万円を超えるケースが一定数存在することが示唆されています。

たとえば、資源エネルギー庁のサイトには「ひと月の電気代が10万円超え！？オール電化住宅の電気代を考える」という記事が掲載されており、〈北海道や東北などの寒冷地では、冬の電気代がひと月10万円を超えるケースもあり、特にオール電化の家庭で、電気代がかさむ〉という記述があります。

出典：資源エネルギー庁「ひと月の電気代が10万円超え！？オール電化住宅の電気代を考える」

また、オール電化住宅を手がける住宅メーカーでは、〈4人以上世帯の戸建てで、冬季の場合、電気代が3〜4万円を超えることは珍しくない〉という見解が見られます。

電気代が4万円超えは平均の2〜5倍以上

一方、「電気代4万円は平均と比べてどうなのか？」という質問については、平均よりも大幅に高いといわざるを得ません。世帯人数や地域によって異なりますが、平均の2〜5倍以上となります。

実際のデータと照らし合わせて確認しましょう。

【世帯人数別の電気代】

世帯人数	1ヶ月あたりの電気代
1人	6,726円
2人	10,940円
3人	12,811円
4人	13,532円
5人	14,373円
6人以上	18,941円

出典：総務省統計局「家計調査」（2023年）

【地域別の電気代】

地域	1ヶ月あたりの電気代
北海道	9,607円
東北	12,586円
関東	9,731円
北陸	15,069円
東海	11,072円
近畿	10,447円
中国	12,537円
四国	12,586円
九州	11,452円
沖縄	9,925円
全国	10,785円

出典：環境省「令和３年度家庭部門のCO2排出実態統計調査資料編（確報値）」図1-69より電気料金の目安単価31円/kWh（家電公取協、令和4年7月改定）として計算

一般家庭であれば電気代4万円は異常発生の可能性あり

ここまでの話をまとめると、「電気代4万円超え」はあり得ない数字ではないものの、一般家庭の平均値と比較すれば、かなり高額です。

電気代が高額になる心当たり（例：オール電化、寒冷地での暖房多用、広い一軒家など）がないのに電気代が4万円を超えている場合、何らかの異常が発生しているかもしれません。たとえば、家電製品の故障や漏電、盗電、電気メーターの故障などです。

詳しくは以下で解説しますので、続きをご覧ください。

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「電気代4万円」で異常事態が生じている場合の内容と対策

まず、電気代4万円という請求が異常によるものではないか、以下のポイントを確認しましょう。

・異常1：家電製品の故障による電力の過剰消費

・異常2：電気配線の老朽化や漏電

・異常3：電気の盗難（盗電）

・異常4：電気メーターの故障

・異常5：電気料金の計算間違いや請求ミス

・異常6：太陽光発電システムの不具合

異常1：家電製品の故障による電力の過剰消費

消費電力の大きい冷蔵庫やエアコン、エコキュートなどが故障した場合、通常よりもはるかに多くの電力を消費し続けている危険性があります。

家庭内の大型家電を中心に、異音や異常発熱、冷却・温水機能の低下など、故障の兆候がないか点検しましょう。

故障が疑われる場合は、すみやかにメーカーや専門業者に修理を依頼し、場合によっては買い替えも検討しなければなりません。放置すれば、電気代高騰が続くばかりか、火災などの二次災害につながるリスクもあります。

異常2：電気配線の老朽化や漏電

築年数の古い住宅では、電気配線の老朽化により、知らぬ間に漏電が発生している場合があります。

漏電は電気代を不必要に押し上げるだけでなく、感電や火災の原因ともなり、非常に危険です。ネズミなど害獣が配線をかじることで漏電が発生するケースもあります。

分電盤のブレーカーが頻繁に落ちる、壁や天井が異常に熱いなどの兆候がある場合は、早急に専門の電気工事士に点検・修理を依頼しましょう。

異常3：電気の盗難（盗電）

稀なケースではありますが、第三者によって意図的に電気を盗まれている可能性もゼロではありません。屋外に設置されているメーターや配線は盗電のターゲットになりやすく、注意が必要です。

不審な配線や機器が接続されていないか、外周を中心に確認し、不審点があれば電力会社や警察に相談することも検討しましょう。

異常4：電気メーターの故障

これも稀なケースですが、電気メーター自体が故障し、実際の使用量よりも過大な数値を示している可能性も考えられます。

ほかの家庭と比べて明らかに電気代が高い、使用状況に変化がないのに急激に料金が上昇したなどの場合は、電力会社に連絡してメーターの点検を依頼しましょう。

生活スタイルをチェックして電気代が高くなる原因を見つけ出したら、家族全員で節電の意識を共有しましょう。協力して無駄な電力消費を削減していくことが大切です。

異常5：電気料金の計算間違いや請求ミス

電力会社による料金計算や請求プロセスにおける人為的なミスによって、誤った金額が請求されている可能性は、低いものの完全には否定できません。

請求書や明細書に不審な点があれば、電力会社に問い合わせて確認しましょう。契約内容と異なる料金プランで計算されている場合などは、すみやかに訂正を求める必要があります。

異常6：太陽光発電システムの不具合

太陽光発電システムを導入している家庭では、システムに何らかの不具合が発生している可能性があります。

本来得られるはずの発電効果が得られず、結果的に電力会社から購入する電力量が増加し、電気代が高騰しているかもしれません。あるいは、パワーコンディショナーなどの機器の故障により、異常な電力消費が発生しているケースも考えられます。

定期的な点検を実施し、異常があればすみやかに専門業者に修理を依頼しましょう。

異常はないのに電気代4万円を超えたら確認すべき7つのチェックリスト

前述のような異常事態は起きていないのに電気代が4万円を超える場合、電力会社の選び方や節電対策に問題があるかもしれません。以下の7つのチェックリストを参考に、自宅の電気使用状況を見直してみましょう。

1. 電力会社や料金プランが合っていない

2. 省エネ性能の低い古い家電を長年使用している

3. 世帯人数に対して契約アンペア数が大きすぎる

4. 断熱性・気密性の低い住宅に住んでいる

5. 在宅時間が長く冷暖房の使用時間が長い

6. 電力使用量の「見える化」をしていない

7. 家族の節電意識が低い

※文中の電気料金は目安単価31円/kWh（家電公取協、令和4年7月改定）として計算しています。

※各家電の消費電力や電気代は、製品の性能や使用状況によって異なります。あくまで目安として参考にしてください。

電力会社や料金プランが合っていない

電気料金プランの選択は、電気代に直結する非常に重要なポイントです。現状のプランが、本当にご家庭に最適なのか、今一度見直す必要があります。

【料金プラン選択のポイント】

・複数社の料金プランを比較検討する：
料金プランは、電力会社によって料金体系やサービス内容が異なります。
各社のホームページなどで料金シミュレーションを活用し、現在の電気使用状況に最適なプランを探しましょう。

・太陽光発電との併用を検討する：
太陽光発電システムを導入しているご家庭では、発電量や売電価格を考慮した料金プラン選びが重要です。

・我が家に適用できる割引が多いプランを選ぶ：
マイホーム割引、太陽光割引、ペット割引など、条件によって電気料金単価が異なるプランも存在します。
より多くの割引が適用できるプランを選択すれば、電気代を節約できます。

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省エネ性能の低い古い家電を長年使用している

10年以上前の古い家電は、最新の家電に比べて消費電力が大きい傾向にあり、電気代高騰の要因となります。冷蔵庫やエアコンなど、長時間使用する家電の影響は大きいため、注意が必要です。

【古い家電の特徴】

・エネルギー効率が悪い：
最新の省エネ家電と比べて、消費電力が大きく、電気代を押し上げる要因となります。
10年前の冷蔵庫と最新の冷蔵庫では、年間消費電力量に2倍以上の差が出ることもあります。

・故障リスクが高い：
長年使用している家電は、故障のリスクが高まります。
修理代がかさむだけでなく、買い替えを余儀なくされる可能性もあるでしょう。

・ランニングコストがかさむ：
省エネ性能が低い分、毎月の電気代に大きく影響します。
長期的に見ると、ランニングコストが高くつく可能性が高いでしょう。

参考までに、環境省のサイトによると、たとえば冷蔵庫の場合、10年前と比較して-42%の省エネとなっています。

出典：環境省「省エネ製品買換ナビゲーションしんきゅうさん」

世帯人数に対して契約アンペア数が大きすぎる

契約アンペア数が大きすぎると、基本料金が高くなり、無駄な電気代を支払うことになります。

世帯人数が少ない家庭や、同時に多くの家電製品を使用しない家庭では、契約アンペア数を見直すことで基本料金を削減できる可能性があります。

【適切な契約アンペア数の選び方】

・世帯人数を考慮する：
一般的に、1人暮らしなら20A、2人家族なら30A、3～4人家族なら40A、5人以上なら50Aが目安とされています。
ただし、これはあくまで目安であり、家電の使用状況によって異なります。

・家電製品の使用状況を把握する：
同時に使用する家電製品の消費電力を合計し、必要なアンペア数を計算しましょう。
アンペア数が不足すると、ブレーカーが落ちる原因となるため、注意が必要です。
主要な家電製品のアンペア数の目安は、エアコンで約5〜20A（立ち上がり時が高い）、電子レンジで約15A、IHクッキングヒーターで約20～30A、洗濯乾燥機で約13Aです。

世帯人数や家電製品の使用状況に合わせて、適切なアンペア数を選択することが大切です。電力会社に相談しながら、契約アンペア数を見直してみましょう。

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断熱性・気密性の低い住宅に住んでいる

断熱性・気密性が低い住宅では、冷暖房の効果が長持ちせず、エネルギーロスが大きくなります。結果として、電気代が高くなる傾向があります。

【断熱性・気密性が低いことによる影響】

・冷暖房効率の低下：
夏は外の熱気が室内に侵入し、冬は室内の暖気が外に逃げてしまいます。
そのため、冷暖房機器は設定温度を維持するために常に稼働し続ける必要があり、多くの電力を消費します。

・冷暖房に頼る期間の長期化：
快適な室温を維持できる期間が短くなり、結果的に冷暖房を使用する期間が長くなります。
たとえば、高断熱・高気密住宅では、外気温15℃程度でも暖房なしで過ごせる場合があります。

築年数が古い木造住宅や、隙間風が多い住宅は、断熱性・気密性が低い傾向にあります。窓を二重サッシにする、壁や床下に断熱材を入れるなどのリフォームを行うことも検討しましょう。

在宅時間が長く冷暖房の使用時間が長い

在宅時間が長いと、冷暖房の使用時間も長くなり、電気代が高くなります。とくに、冬季に使用される電気ヒーターや加湿器は電気代が高いものが多いため、注意が必要です。

【具体的な対策】

・エアコンの適切な温度設定：
環境省は、冷房時28℃、暖房時20℃の室温を推奨しています。
設定温度を1℃変更するだけでも、消費電力は約10%の増減があるといわれています。

・扇風機やサーキュレーターの併用：
エアコンと扇風機やサーキュレーターの同時使用は、冷暖房効率を高める有効な手段です。
一例を挙げると、夏は、エアコンの設定温度を高めに維持しつつ、扇風機を回して体感温度を下げれば、電気代を抑制する効果が期待できます。

・カーテンや断熱シートの活用：
夏は、直射日光を遮断し、冬は、室内の暖気を外に逃がさない工夫が重要です。
遮光カーテンや断熱シートの利用は、冷暖房の効率を上げる一助となります。

・服装による体温調節：
夏は涼しい服装、冬は暖かい服装を心がけ、体感温度を調整しましょう。
衣服で体温調整すれば、冷暖房の電力消費量を抑えられます。

たとえば、1日9時間・エアコン（暖房）を使用した場合、設定温度を21℃から20℃にするだけで、年間約1,650円の節約になります。小さな工夫の積み重ねが、大きな節約につながります。

出典：資源エネルギー庁省エネポータルサイト「空調 | 無理のない省エネ節約」

電力使用量の「見える化」をしていない

電力使用量を「見える化」すれば、無駄な電力消費を発見し、効果的な節電対策を考えられます。専用の機器やサービスを活用して、電気の使用状況を把握しましょう。

【「見える化」の方法の例】

・HEMS （ホームエネルギーマネジメントシステム）の導入：
家電製品ごとの電力使用量をリアルタイムで確認できるシステムです。
導入には費用がかかりますが、詳細な電力使用状況を把握し、効果的な節電対策を立てられます。

・電力会社のマイページを利用する：
多くの電力会社が、マイページで電力使用量を確認できるサービスを提供しています。
過去の電力使用量の推移や、類似世帯との比較などが可能です。

・スマートメーターの情報を確認する：
スマートメーターが設置されていれば、1時間ごと・30分ごとなどの細かな電力使用量を確認できます。
電力会社のマイページなどを通じて、詳細な使用状況を把握しましょう。

・ワットモニターを使用する：
コンセントに接続するだけで、家電製品ごとの消費電力量や電気料金を測定できる機器です。
家電量販店やオンラインショップで購入できます。

電力使用量の「見える化」は、節電の第一歩といえます。専用の機器や電力会社のサービスを活用し、「見える化」に取り組むことをおすすめします。

家族の節電意識が低い

家族全員が節電意識を持って生活することが、電気代削減への近道です。家族で節電の必要性を共有し、目標を設定して協力し合うことが大切です。

【家族の節電意識を高めるポイント】

・節電の必要性を説明する：
まずは、節電の必要性を理解してもらうことが重要です。
まだ年齢が幼い子どもであっても、家計への影響や環境問題について話し合い、なぜ電気を無駄遣いしてはいけないのか話し合いましょう。

・節電目標を設定する：
家族で節電目標を設定し、達成に向けて協力し合うことが効果的です。
明確な目標があると、節電に対するモチベーションが高まります。

・節電の工夫を共有する：
節電の工夫やアイデアを家族で共有しましょう。楽しみながら節電に取り組む雰囲気を作ります。

・節電を習慣化する：
節電行動を習慣化することが重要です。家族でルールを決め、日々の生活の中で自然と節電できるように心がけましょう。

家族の協力があってこそ、節電の効果は最大化します。コミュニケーションを大切にし、家族全員で節電に取り組む体制を整えましょう。

知らないと損する電気代の最新常識

電気代を賢く節約するには、節電の最新常識を知っておく必要があります。以下のポイントを確認しましょう。

1. 新電力の電気代をしっかり比較検討しよう

2. 電気代は安い時間帯に使おう

新電力の電気代をしっかり比較検討しよう

電力自由化により、大手電力会社だけでなく、新電力会社からも電力供給を受けられるようになりました。

新電力の最大の魅力は、大手電力会社よりも安い料金プランが多いことです。しかし、「どの新電力が安いのか」「自分の家庭に合っているのか」は、各家庭の電気使用状況によって異なります。

そこで、まずは料金シミュレーションを活用し、新電力の料金プランを比較しましょう。リボンエナジーの場合、以下のようにシミュレーションができます。

さっそく料金シミュレーションを試してみましょう。

電気代は安い時間帯に使おう

電力会社を選ぶときには、「電気代を安い時間帯に使うとお得になるかどうか」も、しっかり確認しましょう。

たとえばリボンエナジーの場合、日本卸電力取引所の単価に合わせて電気料金を計算しており、30分ごとに電気代の単価が変動します。

高い時間帯はあまり電気を使わず、安い時間帯にまとめて使うと、自然と電気代が節約できる仕組みになっているのです。

電気代が4万円を超えるようなご家庭では、このような工夫が大きなインパクトを持ちます。

現在、電気代の単価が時間帯で変動しない電力会社と契約中の方は、ぜひ上記のような工夫ができる電力会社への切り替えを検討してみてください。

まとめ

この記事では、「4万円の電気代」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

電気代が4万円を超える家庭はどの程度か、以下のポイントを解説しました。

・4万円超えの統計データはないが一定数存在する

・電気代が4万円超えは平均の2〜5倍以上

・通常使用であれば電気代4万円は異常発生の可能性あり

異常事態としては、以下が生じている可能性があります。

1. 家電製品の故障による電力の過剰消費

2. 電気配線の老朽化や漏電

3. 電気の盗難（盗電）

4. 電気メーターの故障

5. 電気料金の計算間違いや請求ミス

6. 太陽光発電システムの不具合

異常はないのに電気代4万円を超えたら確認すべき7つのチェックリストは以下のとおりです。

1. 電力会社や料金プランが合っていない

2. 省エネ性能の低い古い家電を長年使用している

3. 世帯人数に対して契約アンペア数が大きすぎる

4. 断熱性・気密性の低い住宅に住んでいる

5. 在宅時間が長く冷暖房の使用時間が長い

6. 電力使用量の「見える化」をしていない

7. 家族の節電意識が低い

電気代が4万円を超えるご家庭では、異常発生の有無を確認し、適切な対策を講じることが重要です。加えて、電力会社の選び方や電気の使い方を見直し、家族で節電意識を高めていくことが、電気代削減につながります。